2025年7月17日、オーストラリア統計局が発表した6月の失業率は4.3%となり、市場予想の4.1%を上回る結果となりました。これは2021年11月以来、実に3年半ぶりの高水準であり、労働市場の減速がいよいよ明確になってきました。注目すべきは、就業者数の伸びがわずか2,000人にとどまり、しかもその全てがパートタイム雇用であった点です。一方で正規雇用は38,200人の大幅減少となり、労働市場の「質」の悪化も同時に示唆されました。
本統計の発表直後、豪ドルは対米ドルで0.5%下落し、特に政策感応度が高い3年国債利回りも軟化しました。これを受けて、短期金融市場では豪準備銀行(RBA)による8月の利下げが完全に織り込まれ、年内に最大3回の利下げがあるとの予想も急浮上しています。一方で、利下げ期待は株式市場にポジティブに作用し、オーストラリア株価指数は上昇しています。
オックスフォード・エコノミクスのオーストラリア担当、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は「まだリセッションを警戒すべき段階ではないが、今回の労働市場データは中央銀行が早期利下げに踏み切る合理的な理由を提供する」と指摘。また、IG証券のトニー・シカモア氏は「明らかに雇用の減速が進んでいる。RBAが今月インフレ抑制を優先して利上げを決めたことに対して、8月会合で軌道修正を行うのはほぼ確実だ」との見方を示しました。
一部のアナリストは、トランプ前大統領による関税政策がグローバルな企業投資にブレーキをかけており、それがオーストラリア国内の雇用計画の見直しにも繋がっていると分析しています。企業の設備投資が慎重化し、雇用創出ペースが鈍る構図は、金利政策のみならず財政政策や外交リスクの影響を改めて意識させる要因となっています。
金融市場はすでに8月利下げを100%織り込み済みで、11月・12月にかけて追加の利下げが行われるとの見方も強まっています。労働市場データが一段と弱含めば、RBAがより積極的な緩和に踏み切る可能性も否定できません。今回のデータは、単なる一時的な変動か、それとも景気後退の前兆かを見極めるうえでも重要な転換点と捉えられています。
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