エヌビディア、売上高見通しは予想超えも中国リスクで株価下落|半導体・AI市場の行方。
米エヌビディア(NVIDIA)は8月27日、第3四半期の売上高見通しを540億ドル(±2%)と発表し、市場予想(531億4000万ドル)を上回りました。 背景には、生成AI(人工知能)関連の需要とクラウド企業による大規模投資があります。 しかし、中国市場を巡る規制・不透明感が強まるなか、投資家の警戒感から株価は時間外で3.2%下落し、時価総額は約1100億ドル失われました。
項目 | 実績/見通し | 市場予想 |
---|---|---|
第3Q売上高見通し | 540億ドル(±2%) | 531.4億ドル |
第2Q売上高(実績) | 467.4億ドル | 460.6億ドル |
データセンター売上(第2Q) | 410億ドル | 414.2億ドル |
調整後粗利益率(第3Q見通し) | 73.5% | 73.3% |
株価反応(時間外) | -3.2% | — |
エヌビディアは、GPUを中心に、AI学習や推論処理を担う半導体の需要が高水準で続いていると説明しました。第2四半期の売上高467億ドルは市場予想を上回り、その半分以上はクラウド大手顧客からのものです。 また、同社は「ソブリンAI」戦略(各国政府にAI半導体やソフトウェアを提供)に注力しており、2025年中に200億ドル規模の売上を見込んでいます。
今回の見通しには、中国向けAI半導体「H20」の売上は含まれていません。米国政府が中国輸出に規制を課し、15%の手数料徴収を検討しているためです。 こうした輸出規制や地政学リスクは依然として大きな不確実要素となっており、アナリストからも「最大のボトルネックはシリコンではなく外交だ」との指摘が出ています。
テクノロジーコンサルティング企業クリエイティブ・ストラテジーズのベン・バジャリンCEOは「今回の予測には中国市場が含まれていない。次の四半期で販売が回復すれば上振れの余地がある」とコメント。 一方、ランニング・ポイント・キャピタルのCIOは「エヌビディアの成長曲線は目覚ましいが、指数関数的ではない」と慎重な姿勢を見せました。
エヌビディアは同時に、追加で600億ドル規模の自社株買いを承認。株主還元を強化する姿勢を示しました。 しかし市場は「良い決算が当たり前」とする高い期待を織り込んでおり、今回のガイダンス超過も株価押し上げにはつながりませんでした。
エヌビディアは依然としてAI市場の中心にあり、需要は極めて強固です。しかし、政策リスクや地政学的緊張が評価の天井を押さえる可能性も否定できません。 投資家にとっては、短期的には不安定な株価変動が続く一方、長期的にはAIインフラ投資の恩恵を享受できる銘柄であることに変わりはありません。
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