米マイクロソフトは2025年7月2日、全従業員の約4%にあたる9100人を対象とする大規模なレイオフを実施したと発表しました。 これは2025年に入ってから2度目の組織再編であり、部門や地域、役職、勤続年数にかかわらず、広範囲に影響を及ぼすものです。 同社の全従業員数は約22万8000人であり、今回の削減は計算上、その約4%に相当します。
リストラの影響は特にXboxや アクティビジョン・ブリザードなど、 ゲーム事業部門に大きく及びました。 たとえば『キャンディークラッシュ』で有名な Kingでは10%に相当する200人を解雇。 また、Raven Software、Sledgehammer Games、Turn 10、Halo Studios、ZeniMax、Rare、The Initiativeなどの開発スタジオも対象となり、一部ではスタジオの閉鎖やプロジェクトのキャンセルが確認されています。
実際に、The Initiativeが手がけていた『パーフェクトダーク』のリブートプロジェクトはキャンセルされ、 Rareの新作『Everwild』も凍結されたと報じられています。 これらはゲーマーにとって大きな衝撃であり、マイクロソフトの方向転換が現場に与える影響の大きさを物語っています。
興味深いのは、今回のリストラが業績不振によるものではない点です。 同社は2025年第2四半期に前年同期比15%増の647億ドルを売上げ、通期でも2451億ドルの売上を記録。 全事業部門で成長を達成している中でのリストラとなりました。
マイクロソフト ゲーミングのCEO、 フィル・スペンサー氏は、 社内メッセージにて「我々は将来の成功を確実にするため、今、厳しい選択を迫られている」と語り、 「成長分野にリソースを集中させるため、一部の事業領域を縮小または終了する」と説明しました。 また「今回の決定は、関わった人々の才能や努力を否定するものではない」と従業員への敬意も表しています。
この大規模な人員削減の背景には、人工知能の急速な進化と、 生成AIのビジネス活用が挙げられます。 マイクロソフトは早くからOpenAIに出資し、 ChatGPTとの統合を図ってきましたが、現在はOpenAIへの依存を減らし、独自のAI戦略への転換を図っています。
一方で、HoloLens部門やAzureクラウド関連の部署でも、2024年以降断続的に人員削減が行われており、 「メタバース」やハードウェア事業から距離を置きつつある同社の方針が明らかになっています。 これは、生成AIを含む新しいビジネスモデルへの移行を加速するための布石とも言えます。
この動きは、ゲーム業界全体にも波及する可能性があります。 コンソール市場が成熟期を迎え、サブスクリプション型のクラウドゲーミングやマルチプラットフォーム展開が主流となる中、 ソニーや任天堂といった他社も同様の戦略見直しを迫られる可能性が高まっています。
すでにマイクロソフトは、「Sea of Thieves」「Gears of War」などの独占タイトルを他社プラットフォームに提供し始めており、 コンソール中心のビジネスモデルから脱却しようとしています。 今後の業界構造の大きな転換点になるかもしれません。
今回のレイオフは、マイクロソフトゲーミング部門における18か月で4度目の大規模リストラです。 一部の従業員はすでに5月時点で削減の可能性を認識していたとされ、現場では緊張が続いていました。
マイクロソフトは影響を受けた従業員に対して、法的補償、医療保険の延長、再就職支援、内部ポジションへの優先応募などを提供するとしています。 こうした措置は、企業の社会的責任(CSR)やブランド維持の観点からも重要です。
時価総額3兆ドルを超える巨大企業であるマイクロソフトは、 「選択と集中」によりさらなる収益性と競争力を追求しようとしています。 その一方で、従業員やユーザーへの影響も小さくなく、今後の対応が注目されます。 今回のリストラが業界全体に及ぼす波紋と、テクノロジー企業のあり方を考える契機となるでしょう。
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マイクロソフトは全従業員の約4%にあたる9100人を解雇し、特にゲーム部門に大きな影響が及びました。
生成AIへの移行と事業の選択と集中を進める中での戦略的リストラと見られています。
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