2025年7月22日(米国時間)、ドナルド・トランプ大統領は、自身のSNS「Truth Social」で日本との貿易交渉における合意を発表しました。この合意は、先月アメリカ側が日本に通知していた25%の相互関税を、15%に引き下げるもので、貿易摩擦の激化を回避する意図が見られます。声明の中でトランプ氏は「日本がコメやトラック、自動車などを含む貿易で市場を開放することが今回の合意の核心である」と述べました。
自動車は、日本の対米輸出のうち25%以上を占める基幹産業です。今回の合意では、当初アメリカ側が導入予定だった25%の追加関税を12.5%に抑え、既存の2.5%と合わせて15%とすることで妥結しました。これにより、日本の自動車メーカーが受けるダメージは限定的となり、トヨタやホンダ、日産など主要企業にとって安定的な輸出環境が確保される見通しです。一方で米国内の自動車業界では、輸入車価格の上昇に伴う競争力の変化が注目されています。
写真出典:NHKニュース
農業分野では、米国産コメの最低輸入枠の範囲内での拡大が決定されました。これにより、アメリカ農家にとっては日本市場への販路拡大が期待され、日本側は消費者選択肢の多様化が見込まれます。また、トラックや農産物の関税障壁についても、市場アクセスの改善に合意しており、日米農業協力の新たな枠組みが模索される可能性があります。
一方で、安全保障上の懸念から、鉄鋼およびアルミニウム製品には引き続き50%の関税が適用されます。この高関税措置は、アメリカ国内の雇用と基幹産業を保護する目的で導入されており、今回の交渉では調整の余地が残されました。今後はこれらのセクターについて、別途協議を継続する可能性が高く、日米双方の産業界からの意見も反映される形になると見られます。
トランプ大統領は、今回の通商合意に関連して、日本が米国に対して直接投資として5500億ドル(約80兆円)を行うと発表しました。この投資は、インフラ、再生可能エネルギー、半導体製造など幅広い分野に及ぶ見通しです。トランプ氏は「この合意により数十万人規模の雇用が創出される」とし、「米国が利益の90%を得る史上最大のディールだ」とその成果を強調しました。
今回の日米合意は、貿易摩擦を回避しつつ、両国の産業界に一定の安定をもたらす内容となりました。日本にとっては、重要産業である自動車や農業を守りながら、米国との信頼関係を維持する狙いがあったと見られます。ただし、通商政策の観点では、今後も鉄鋼・アルミやIT関連製品など未解決の課題が残されており、両国は継続的な対話と協調が求められます。日米関係は新たな局面を迎えましたが、その行方は世界経済全体にも影響を及ぼす可能性があります。
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日米が通商交渉で歴史的合意に達し、相互関税を15%に引き下げ、日本は自動車・農業分野に配慮しつつ5500億ドルを米国に投資、鉄鋼・アルミ関税は維持され今後も協議が継続される見通し。
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