テラフォーム・ラボ共同創設者のド・クォン被告が、これまでの無罪主張を撤回し、米国で電信詐欺および詐欺共謀の2件について有罪を認めました。2022年に発生したステーブルコインのテラUSD(UST)と姉妹トークンLUNAの崩壊から約3年、同氏の法的立場は大きく変化しています。この方針転換は、長期にわたる勾留や米証券取引委員会(SEC)との民事和解、そして近年の仮想通貨関連事件における厳罰化傾向といった複数の要因によって形成されました。
ド・クォン被告は2023年3月、テラフォーム・ラボでの活動に関連して、有価証券詐欺、市場操作、マネーロンダリング、電信詐欺など9件で起訴されました。当初は全ての容疑について無罪を主張していましたが、2025年8月、米検察との司法取引に応じ、2件の罪状を認めることに同意しました。この合意には罰金1,900万ドルの支払いと、検察が12年を超える求刑を行わないという条件が含まれています。量刑言い渡しは2025年12月11日に予定されています。
今回の有罪答弁への転換は、いくつかの要因が重なった結果と考えられます。第一に、2024年12月にモンテネグロから米国へ身柄移送されて以来、約7か月間にわたって保釈なしで勾留されてきたことが精神的にも戦略的にも大きな圧力となりました。第二に、2024年6月にはSECとの間で8,000万ドルの民事罰を含む和解に合意し、一部の法的リスクが解消に向かったことです。さらに、FTX創業者サム・バンクマン=フリード氏の懲役25年など、近年の仮想通貨関連事件での厳罰化傾向も、リスク回避の観点から司法取引を選択する動機となりました。
2022年5月、アルゴリズム型ステーブルコインであるUSTとLUNAが相次いで崩壊し、仮想通貨市場から約400億ドルが消失しました。この事態は、世界的な規制強化の引き金となり、特にステーブルコインの設計や担保資産の透明性、償還メカニズム、運営体制のガバナンスに対する監視が強まりました。韓国当局もクォン氏の身柄引き渡しを求めており、事件は国際的な注目を集め続けています。
米国南部地区連邦裁判所における今回の訴訟は、国際的な金融犯罪の典型例ともいえます。クォン氏はモンテネグロで偽造渡航書類の使用により拘束され、その後4か月間服役しました。その間に米国と韓国の双方が身柄引き渡しを求め、最終的に米国に送還されました。今後、韓国での刑事訴追の可能性や、越境的な刑の執行に関する国際私法上の論点が浮上する可能性があります。
今回の有罪答弁は、仮想通貨プロジェクトの創業者や経営陣が事業の失敗や投資家への損害に対してどのように法的責任を問われるかという点で、重要な前例となります。規制当局は、投資家保護のための情報開示義務やガバナンス強化、資産監査の義務化などをさらに推進する可能性があります。特に、UST/LUNAのようなステーブルコインのリスク管理や担保の実在性を検証する枠組みが強化される見込みです。
有罪答弁は、損失を被った投資家との民事和解交渉を加速させる可能性があります。刑事裁判における有罪認定は、民事訴訟における立証の基盤となりやすく、賠償請求の成立を容易にします。これにより、多くの被害者が迅速に補償を受けられる可能性が高まります。
量刑は最終的に担当判事の裁量に委ねられますが、今回の司法取引によって刑期が短縮される可能性は高まっています。一方で、韓国やその他の法域での訴追が残されており、国際的な法的リスクは完全には解消されていません。仮想通貨業界全体としては、透明性の高い運営と規制遵守が今後の成長の前提条件となります。特に、投資家との信頼関係を構築するための定期的な監査報告や、リスクに関する明確な開示が不可欠です。
ド・クォン被告の有罪答弁は、単なる一個人の刑事事件を超えて、仮想通貨市場全体の健全性と信頼回復に関わる重要な分岐点です。この事件は、創業者や経営者が直面する法的責任の重さを改めて浮き彫りにしました。業界の持続的発展には、適切な規制枠組みの中での革新と、投資家保護の強化が不可欠です。
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この記事は、テラフォーム・ラボ共同創設者ド・クォン被告が米国で電信詐欺と詐欺共謀の罪を認めた経緯と背景、その法的・市場的影響を解説しています。2022年のUST/LUNA崩壊から続く一連の動きを時系列で整理し、仮想通貨業界における規制強化や投資家保護への示唆を示しています。
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