中国7月の新車販売台数、前年同月比14.7%増|NEVが市場拡大を牽引、競争激化と国際情勢が今後の鍵
中国自動車工業協会(CAAM)の最新データによると、2025年7月の中国の新車販売台数は前年同月比14.7%増の259万3000台となりました。これは、政府の自動車買い替え促進策、消費者の電動化志向の高まり、そしてインフラ整備の進展によるものです。特に成長が顕著だったのが新エネルギー車(NEV)です。126万2000台が販売され、前年同月比27.4%の増加となりました。NEVの内訳では、BEV(純電気自動車)が81万1000台で47.1%増、PHEV(プラグインハイブリッド車)が45万1000台で2.8%増でした。これにより、NEVの市場占有率は48.7%と、過去最高水準に達しています。
この伸びの背景には、中国政府が掲げる「カーボンピーク・カーボンニュートラル」政策の一環として、自動車産業における電動化を強力に推進していることが挙げられます。購入補助金や税制優遇策に加え、充電ステーションの急速な拡充も消費者の購入意欲を後押ししました。
7月の輸出台数は57万5000台で前年同月比22.6%増加しました。NEV輸出は前年同月比120%増と特に好調で、主な輸出先は欧州、東南アジア、中東です。欧州では厳格な排出ガス基準やEV導入義務化の動きが進んでおり、中国製EVの競争力が高まっています。一方、国内市場では競争環境が一段と厳しくなっています。大手メーカーから新興EVメーカーまで、シェア拡大を狙った値下げが相次いでおり、業界全体の利益率が低下する懸念があります。特に、BYDやテスラ中国、NIO、XPengなどの主要プレーヤーは、価格戦略と技術革新の両面でしのぎを削っています。
企業別動向を見ると、XPengは前年同月比229%増の36,717台を販売し、急成長を遂げています。一方、Li AutoやNIOは販売減少、BYDは微増にとどまりました。テスラの中国製EV販売も前年同月比8.4%減と苦戦が見られます。
中国政府はNEV普及を加速させるため、2025年以降も補助金政策を段階的に維持するとともに、地方自治体によるインセンティブ制度を強化しています。また、「以旧換新」政策により、古いガソリン車を廃車してEVに乗り換える消費者に補助を行い、需要喚起を図っています。しかし、外部環境としては米中貿易協議の不透明さが依然としてリスク要因です。米国は中国製EVに対する関税や輸入規制を検討しており、これが輸出拡大の足かせになる可能性があります。加えて、欧州でも中国製EVの急増を受け、アンチダンピング調査などの通商措置が取られる懸念もあります。
世界のEV市場は、2025年時点で全体の新車販売の約25%を占め、2030年には50%を超えるとの予測があります。中国はこの市場の約60%を占めており、技術面でもリチウムイオン電池や充電インフラにおいて世界をリードしています。ただし、競合環境は急速に変化しています。米国ではテスラやGM、欧州ではフォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツがEVラインナップを拡大し、中国市場への攻勢を強めています。さらに、新興国市場でもインドやタイ、インドネシアなどがEV政策を強化し、グローバルサプライチェーンの再編が進行中です。
中国の7月の新車販売は、新エネルギー車の急成長によって全体を押し上げましたが、国内外の競争と政策リスクが今後の課題となります。政府の支援策や技術革新が継続すれば、世界のEV市場における中国の優位性は当面揺るがないとみられます。ただし、国際的な貿易摩擦や競争激化への備え、そして消費者ニーズの多様化への対応が、持続的成長の条件となるでしょう。
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この記事は、中国の2025年7月における新車販売動向を詳細に分析したものです。中国自動車工業協会の公式データを基に、前年同月比14.7%増という販売成長の背景、特に新エネルギー車(NEV)や電気自動車(EV)の需要拡大について解説しています。また、輸出台数の増加、価格競争の激化、米中貿易交渉の不透明感といった市場環境の変化も取り上げ、今後の業界動向や課題を総合的に考察しています。
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