ブレント原油が68.25ドルに上昇|米EU貿易協定とFRBの政策不透明感がエネルギー市場を左右
2025年7月28日、ブレント原油は国際市場で1バレル68.25ドルで取引されており、前週末の高値69ドルからやや下落後、現在は回復基調を見せています。過去24時間での最安値は67.59ドルとなっており、一定のボラティリティが見られる展開です。同時に、WTI原油は1バレル65.48ドルで推移しており、スプレッドは2ドル台後半を維持。精製・輸送コスト、在庫統計、季節要因などが価格差に影響しています。
米国とEUはスコットランドでの首脳会談を経て、エネルギー分野を含む大型の貿易合意を締結。トランプ大統領は「EUは7500億ドル相当の米国産エネルギーを購入することで合意し、6000億ドル以上の対米投資も実施する」と発表しました。この合意により、欧州諸国の米国産原油や天然ガスへの需要が大きく拡大する見通しです。特にロシア産エネルギーへの依存を減らす動きと連動し、地政学的な意味合いも含まれています。この需給構造の変化が、ブレント原油の価格に上昇圧力を与えています。
エネルギー市場にとってもう一つの注目要因が、米国FRBの政策動向です。インフレがやや鈍化し始めている現在、利上げの一時停止も選択肢に入っており、市場は「金利据え置き→ドル安→コモディティ高」の構図を意識しています。投資家は今週発表される非農業部門雇用統計、GDP成長率、PCEデフレーターといった重要指標を注視しています。特に、ジャクソンホールでのFRB高官による講演は、中長期の政策スタンスを測るうえで重要な材料となるでしょう。
原油供給側では、OPECによる7月の自主報告が今週中に発表される予定です。5カ国の生産状況が注目されており、減産合意の遵守状況や将来的な供給見通しが焦点となります。また、中国が進める戦略石油備蓄(SPR)の積み増しや、長期契約の再構築も需要サイドにとってポジティブ要因。これによりアジア市場でのスポット価格にも影響を与えかねず、グローバル需給バランス全体に波及する構図が見え始めています。
チャート上では、以下の水準が当面の目安と見られています。
現在の価格はこの中間にあり、短期的には方向感の定まらない展開です。ただし、MACDやRSIなどのテクニカル指標では依然として上昇傾向が維持されており、ボリュームも増加傾向にあります。
現在のブレント原油価格は、需給の緩やかな引き締まり、地政学的要因、金融政策の転換点など複数の要因が複雑に絡み合って形成されています。米国とEUの経済協力の強化は、長期的な需要の増加を意味し、供給面ではOPEC+と米国の生産動向に注目が必要です。短期的には70ドル突破を視野に入れつつも、66ドルを割り込むような下落があれば一時的なリスク回避の動きが強まる可能性もあります。中期的には、金利動向と世界経済の回復テンポが最大の焦点となるでしょう。
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