トランプ米大統領は2025年8月25日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」でFRB理事のリサ・クック氏を「解任する」との書簡を公開。住宅ローン不正疑惑を理由に挙げたが、連邦準備法上の「正当な理由」に当たるかは不明で、米国内外の市場と学界に衝撃が広がっている。
トランプ氏は、SNSに公開した書簡で「憲法第2条と連邦準備法に基づく権限を行使し、クック氏を即刻解任する」と宣言。書簡には、連邦住宅金融局(FHFA)の局長が「住宅ローン契約で不正があった」と指摘した点を引用し、「虚偽記載の十分な証拠がある」と理由を説明した。
米国の法律では、連邦準備法により、FRB理事は「職務怠慢」「不正行為」などの正当な理由がある場合に限り解任可能とされています。しかし、具体的な解釈は不明瞭であり、特に中央銀行の独立性を守るため、大統領が解任権を行使した前例はほとんどありません。今回のケースは、クック氏がFRB理事に就任する以前の私的な取引に関する問題であり、果たして「解任理由」として成立するかどうか、法的に争われる可能性が高いとみられます。
ニュース直後、ドルは売られ、短期金利に敏感な2年国債利回りは低下。一方、インフレリスクに敏感な10年国債利回りは上昇し、利回り曲線はスティープ化しました。また、安全資産とされる金は上昇。市場はFRBの独立性が揺らぐリスクを意識し、短期的な政策予測を修正する動きが広がりました。
次回のFOMCは2025年9月16~17日。6会合ぶりの利下げが検討される重要な会合であり、クック理事が出席できるかどうかが焦点となります。解任問題が長引けば、FOMCの意思決定の正統性に疑問符がつく可能性もあります。
今回の「解任宣言」は前例がほぼなく、司法判断が今後の鍵を握ります。中央銀行の独立性を侵害する試みとして批判される一方で、市場は不確実性の高まりを織り込みつつあり、短期的なボラティリティ増加が予想されます。トランプ政権の今後の姿勢次第では、金融政策と政治の距離感が大きく変わる可能性があり、国際金融市場に与える影響は小さくないでしょう。
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本記事は公開情報や主要報道機関の情報に基づき作成されたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点のものであり、今後の政治状況や市場環境の変化によって修正される可能性があります。
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