2025年6月、タイのペートンタン・シナワット首相と、カンボジアのフン・セン上院議長(前首相)との非公式な電話会談の音声が流出しました。
その中でペートンタン氏は、自国の軍幹部を名指しで批判し、カンボジア側に対して融和的な発言を繰り返していたことが判明。
「おじさん」と呼びかけるなど、外交的に中立を欠く言動が問題視され、タイ国内で強い反発を招きました。
この発言を受けて、保守派勢力である「タイの誇り党」は連立政権からの離脱を表明。さらに、党に近いとされる上院議員36人が、憲法裁判所に対して、ペートンタン氏の解職を求める申し立てを行いました。
憲法裁はこれを受理し、7月1日付で首相の職務一時停止を命令。今後、正式に解職とするかどうかの審理が進められることになります。
ペートンタン首相は、タクシン・シナワット元首相の娘であり、タイ最大与党「タイ貢献党」の党首でもあります。
タクシン氏は過去に首相として経済成長を牽引した一方で、軍部・保守派との対立が激化し、2006年にはクーデターで失脚。その後も彼とその家族を中心とする政治勢力と、軍・保守派との構図は続いてきました。
憲法裁判所の裁判官は軍に近い人物が多いとされており、今回の職務停止命令は「政治的な狙いがある」とする見方も根強いです。
今回の件を受けて、政権内部は大きく揺れ動いています。「タイの誇り党」は政権から離脱し、不信任案の提出も視野に入れているとされます。また、バンコクでは保守派の支持者を中心に約2万人規模のデモが発生。首相の辞任を求める声が高まっています。
一時的に副首相が職務を代行する予定ですが、連立の崩壊と国民の抗議行動が重なり、今後の政局運営は極めて困難になると見られます。
ペートンタン首相は、憲法裁の決定について「受け入れる」とした上で、記者団に対し「自らの行動は国のためだった」と説明。
「不快に感じた方々にはおわびする。だが、あの発言は意図的なものではなく、国益を守るための真摯な対応だった」と語りました。
憲法裁の審理がどのような結論に至るかが、今後の焦点となります。正式な解職となれば、新たな首相指名や選挙など、政権の再編が避けられません。
また、タイ国内における民主派・保守派の緊張が再燃する可能性もあり、政治・社会の安定性に影を落とす事態となりそうです。
今回の職務停止命令は、単なる外交失言を超えて、タイ政治の根深い対立構造を象徴しています。
タクシン一族に対する保守派の警戒と軍の影響力が交錯し、民主化の流れに逆行するような動きも見え隠れしています。
政権の今後と、民意がどのように反応するか、国内外の注目が集まっています。
タイ憲法裁判所がペートンタン首相の職務停止を命じ、電話会談音声の流出をきっかけに政界の緊張が再燃。政局は新たな局面を迎えつつあります。
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