中国空母「遼寧」、日本最東端のEEZに初進入|西太平洋の緊張さらに高まる
2025年6月9日|出典:Stars and Stripes
中国人民解放軍海軍の空母「遼寧」が、2025年6月8日(土)に日本の最東端に位置する排他的経済水域(EEZ)に初めて進入しました。この行動は、西太平洋における海洋覇権争いの中で、日本および同盟国の警戒感をさらに強める要因となっています。
防衛省統合幕僚監部によると、「遼寧」は日本の領土である南鳥島の南西約185マイル(約300km)沖で発見され、空母のほか、2隻の誘導ミサイル巡洋艦および1隻の高速戦闘支援艦を伴って航行していたとのことです。これらの艦船は6月8日(土)午後6時ごろに最初に確認され、翌9日には艦載機とヘリコプターによる発着艦活動も観測されました。
南鳥島(マーカス島)は、東京からおよそ1,500マイル(約2,400km)離れた孤立した環礁ですが、日本のEEZの拡張に不可欠な地政学的拠点です。面積はわずか1.2平方キロメートルながら、約43万平方キロメートルの排他的経済水域を日本に与えており、その海域では希少なレアアース資源の埋蔵も確認されています(参考:EEZの定義)。
この海域は、日本の資源戦略、防衛ライン、海底通信ケーブル網にとっても重要な位置を占めています。
国際法上、EEZは国の主権が及ぶ「領海」とは異なり、天然資源に関する限定的な権利のみが沿岸国に与えられています。国連海洋法条約では、EEZは基線から200海里(約370km)以内と定められ、漁業、海底資源の採掘、環境保全などに関する特別な管轄権が認められています。
ただし、他国の軍艦がこの海域を通航・活動すること自体は国際法上認められており、今回の「遼寧」の進入も「違法行為」ではありません。とはいえ、日本にとっては監視強化を要する軍事的プレゼンスの拡大であることは間違いありません。
この一連の航行活動は、長期的に見て中国の「青い海軍(Blue Water Navy)」構想の一環とされています。日本側は佐世保に配備されているミサイル駆逐艦「JSはぐろ」によって「遼寧」の動向を監視し、飛行活動の様子などを継続的に記録しました。
なお、「遼寧」は5月25日〜30日にも東シナ海から宮古海峡を通過し、西太平洋で艦載機の発着訓練を行った後、南方へ向かったとされています。
この進入は、台湾海峡や南シナ海での軍事的緊張と連動する形で、日本の防衛政策や外交戦略にも影響を及ぼす可能性があります。特に、自由で開かれたインド太平洋戦略を掲げる日米同盟にとって、中国の動向は今後ますます注視されるでしょう。
今後の外交・軍事的対応についても、国内外の専門家や防衛関係者からの分析が注目されます。
今回の「遼寧」の活動は、海洋進出を強化する中国と、海上交通路・資源確保を重視する日本の利害が衝突しつつある現実を象徴しています。EEZの法的枠組みの中で、日本がどのように対応していくかが今後の鍵となります。
今後もこの問題の動向について、FIXIOブログにて随時お伝えしてまいります。
中国の空母「遼寧」が初めて日本の最東端EEZ(排他的経済水域)に進入し、南鳥島沖で軍事活動を展開。艦載機の発着も確認され、日本の防衛当局が警戒を強めている。中国の海洋進出の一環とみられ、地域の地政学的緊張が高まる中、注目を集めている。
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